● 入門編　始めての竿選び

　　　良い釣り道具に巡り会えるまで

　魚釣りと言えば、まず最初に浮かぶのがロッド（竿）ではないでしょうか。

　それからリール、仕掛け、オモリと様々なアイテムを組み合わせて釣りが成立します。

　特に竿に関しては日本ほど色々な種類の竿を作っている国は有りません。この中か

　ら、どんな竿を選べば良いのか釣り初心者の方は大いに迷われると思います。用途

　に合った竿選びは、とても重要な事なんです。

　※魚釣りは色々な道具をバランス良く関連させなければ、たとえ高価な物で有って

　　 も、他の道具類とのバランスが悪ければ、実釣では使えない等の事が多々出てき

　　 ます。ここでは各竿の特性と用途を簡単に、ご紹介いたします。

　まず竿を選ぶ時に自分に必要な条件を整理して行きましょう。

　何処で釣るのか？対象魚は何か？（例：防波堤・テトラ・メバル・カサゴ等）
　どんな釣り方で釣るのか？（例：ルアーフィッシング・探り釣りetc）
　無理をせずに捻出、出来る予算は？（例：２〜３万円までで納めたい等）
　最重要ポイントは？（例：メンテナンス等が簡単）

　と言う風にまとめておく事が、これから長く釣りをするので有れば、とても重要な竿選

　びに成ります。

　神経質になる事は有りませんが、釣行する釣り場に合ったタックルを購入する様に

　しましょう。釣り暦、何十年と言う方でも、異なるジャンルの釣り具を初めて買う時に

　は経験が無いので初心者の方と同等と言って良いでしょう。特に竿とリールのバラ

　ンスはとても重要です。

　一日中ロッドを振り続けるルアーフィッシングにおいては、リールを取り付けた時の

　重心位置（バランス）が悪ければ直ぐに疲れてしまいます。

　慎重に選ぶ必要が有るので、特に気を付けて下さい。

　　波止でよく使われる竿達

　　　磯竿一覧

　磯のウキ釣りや波止のサビキ釣りで使われる竿です。特に磯場は足元が悪いので

　掛けた魚を取り込み易くするために、通常の竿より幾分、長めに作られています。

　また磯釣り専用竿とも成ると、軽さと強靱さが要求されるので各メーカー共、高価な

　物が多いのが特徴的です。磯では軽い仕掛けを使用するので、アタリの取り易い

　繊細な穂先を装備しているので重たいオモリは使えません。

　一般的な長さは４．５ｍ〜６．３ｍ程度ですが、磯竿の主流は５．３ｍ位が良く

　使われています。また、インナーラインロッドと呼ばれる、糸が竿の中を通る中通し

　と呼ばれる竿が増えてきましたが、撥水能力やメンテナンスなどの問題も有ります

　ので、購入する時は良く考えましょう。

　　※比較的、糸絡みと呼ばれるトラブルが起こり難いのが特長です。

　　　落し込み竿一覧

　上から落ちてくるエサに敏感に反応する黒鯛（チヌ）の習性を利用して開発された

　波止・テトラ専用の竿です。小さいガン玉オモリだけで岸壁の際や、テトラの隙間を

　探るのに威力を発揮しますが、ガイド（糸を通す金具）が通常の物に比べ、かなり小

　さいためウキ釣りや遠投には向いていません。

　　（この竿で遠投を試みた場合ラインがガイドに絡まって簡単に切れてしまいます）

　一般的に落し込み竿と呼ばれている物は【２．７m〜３．６ｍ】程度を使用します。

　テトラから少し沖合いを狙う時の竿は、前打ち竿と言って【４．３m〜５．３ｍ】と長

　めの竿を使います。低い堤防の際（ヘチ・キワ）を探る【２．１m〜２．７ｍ】程度の

　短いヘチ竿等が有ります。

　※最近、流行なのが、釣り場によって、攻めるポイントや堤防の高さで自在に竿の

　　 長さが変えられるズームが有ります。１本で様々なケースに対応できる優れ物で

　　 すが、構造上、幾つかの欠点が有るのも否めません。

　　　のべ竿一覧

　リールなどを使用しない趣の有るプロ志向の竿です。本来、池や川で主に使用する

　竿を海釣りで使用したのが始まりです。元々、延べ竿（のべ竿）とは一本物のガイド

　の無いリールを使用しない竿の事を言います。一般的には振り出し竿でもガイドが

　無くリールを使わない竿の総称ですが、渓流竿やへら竿なども延べ竿と呼ぶ事が

　有ります。

　主に浅い棚（水深が浅い）でのミャク釣りやウキ釣りで使います。長さも磯竿と同

　等の４．５ｍ〜６．３ｍ程度に人気が有る様です。磯竿よりは幾分、柔らかい調子で

　作られており、波止での小物釣りに向いています。

　※特に、メバル釣り専門の方が好んで使われますが、リールを使用しないシンプル

　　 なタックルですので、釣りに不慣れな女性やお子様向けと言えます。

　　　投げ竿一覧

　投げ釣り専門で使う竿です。特にカレイ釣りなど、じっくり腰を据えてアタリを待つ場

　合、一般的には何本かを投げ分けて三脚に掛けて使用します。持ち竿の場合を除

　いて、特に竿の自重に拘る必要は有りません。グラスファイバー製なら価格の安い

　普及品が出回っています。

　置き竿にする時は穂先に鈴などを付ければアタリも分かり易いです。投げ竿の特性

　は、重たいオモリを遠くまで投げられる様にガイドの径も比較的大きく、また数も少

　なく、かつ固くて頑丈に作られているのが特徴です。

　長さは３．６ｍ〜４．５ｍぐらいに人気が有ります。

　※３本〜４本から成る並継ぎとアンテナの様に伸ばして使う振り出し竿が有ります。

　　 並継ぎ竿は構造上、堅めに作られていて、投げ釣り専門釣り師の必須アイテム

　　 の一つです。（場所移動や利便性を考えるなら振り出し竿が便利です）

　　　かかり竿一覧

　筏での黒鯛（チヌ）を狙うために考案された竿です。穂先で繊細なアタリを取るため、

　とても感度の高い繊細な作りになっています。竿自体は短かくてガイドも小さいの

　でウキ釣りには向いていません。筏専用竿ですので長さも短かくて１．５m〜１．８m

　前後が一般的に良く使われています。

　※また重いオモリでも使える様に頑丈に作られたテトラ専用竿と言う安価な商品も

　　 販売されています。探り釣り等、テトラの穴に潜むカサゴや根魚を狙うのに適して

　　 います。

　　　シーバスロッド一覧

　ハマチや大型青物、スズキなど、ゲームフィッシング（ルアーフィッシング）専用の竿

　です。通常、ルアー釣りで使われるロッドには、スピニングロッドとベイトロッドの二

　種類に大別されます。これは購入する前に決めておかないと、専用のリールが異な

　ります。
　用途の異なるロッドとリールを組み合わせていると、釣り難いばかりか恥かしい思い

　をします。（スピニングロッドには必ずスピニングリールを使用します。ベイトロッドに

　は必ずベイトリールを使用します）

　スピニングロッドの特徴は、比較的、軽いルアーを投げる事が出来て、尚且つ初心

　者にも扱い易いロッドだと言えます。初心者の最初のルアーフィッシング専用ロッド

　ならスピニングロッドをお勧めします。

　次にベイトロッドの特徴は重いルアーが投げられる。巻き取り力が強い、手返しが良

　い等の利点も有りますが、投げるには少しコツが必要になります。（サミング＝指の

　腹でスプールに抵抗を掛ける）など。また※バックラッシュも非常に厄介です。

　　　※　バックラッシュ：　ルアーをキャストする時にスプールがフリー

　　　　　（自由に回転する状態）になるベイトリール特有のトラブルです。

　　　　　つまり、ラインが出て行くスピードよりも、スプールの回転の方が速く

　　　　　なってしまうと言う事です。結果、リール（スプール）からラインが溢れ

　　　　　出してしまいます。（本当に頭の中が真っ白！予備を忘れずに！）

　　　　　対処法としては、事前にブレーキをセッティングするか、キャスト時に

　　　　　指の腹でスプールに抵抗を掛ける（サミング）等の方法が有ります。

　　　　釣り場に合わせた究極の一本

　シンプルマルチプレーヤー

　波止で簡単に狙える魚なら、魚種に拘らず何でも釣りたい！また道具は極力、少な

　いアイテムで臨みたい！・・・等の方に適した竿は、磯竿の２号〜３号長さ４．５m〜

　５．３ｍクラスがオールマイティーに使えて便利です。この竿１本でサビキ釣り、ウキ

　釣り全般をこなせます。メバル等の小物からタチウオも、問題有りません。

　粘り釣りスタイル

　じっくりと腰を据えて同じポイントで釣りたい。根魚に限らず上物も狙ってみたい。

　ウキ釣りに最も特化した磯竿の１号がお勧めです。波止では一般的な５.３ｍクラス

　よりも、少し短めの４.５m〜５ｍが扱い易いと思います。特に初めての方でしたら、

　この竿１本で、小さなメバルから大型の青物まで対応出来ます。磯竿の１号クラス

　は使用頻度が多いので、これから長く釣りをするので有れば、高品質な物を選んで

　下さい。出番も多く永く使えるだけに、高くても良い物を選びましょう。
　（ウキ釣り以外は少し使い難いのが難点です）

　探り釣りスタイル

　とにかく釣果を上げたい、何がなんでも魚を釣りたい。自分から攻める釣りをした

　い！・・・等は、落し込み竿のズームロッド３．６m〜４．５mクラスの竿を使用します。

　調子は柔らかい物よりも、若干、腰が強い物を使って下さい。堅めの方がバラシが

　少ない様に思います。この竿の持つ特性を利用すれば、高低差の有る波止でも竿

　の長さを自在に変えれるので、まさに釣り場を選びません。きっと大活躍出来ると

　思いますが、表層を泳ぐ魚達やウキ釣り狙いの魚は少し慣れる必要が有ります。

　※専用のタイコリールを使用します。

　遠投スタイル

　遥か沖合いを目指して、おもいっきり投げて狙いたい！カレイのお造りが食べたい！

　等は体力に自信が有れば、並み継ぎ竿をお勧めしますが、移動などの利便性を考

　えれば、振り出し式の投げ竿４．２m〜４．６mが扱い易い様に思います。投げるオモ

　リの号数によって竿の堅さが異なります。波止から狙うなら少し柔らかい２０号位の

　方が良いと思います。砂浜からはオモリ負荷２７号〜３０号を使います。キスやカレ

　イなどをターゲットに見据えて広範囲を狙えます。また釣果を上げる方法として、

　竿２本〜３本を遠、中、近と投げ分ける事で良い結果に繋がると思います。

　※竿を追加購入する時は出来るだけ同じメーカーの物を購入しましょう。

　　 メーカーが異なると同じオモリ負荷でも使用感が全く異なります。

　ファミリースタイル

　ご家族全員で釣りを楽しみたい場合、自分の釣具は持っていると思われますので、

　奥さんやお子さん専用の竿を用意しましょう。前述した様に女性なら簡単仕様の

　リールを使用しない５m前後のノベ竿が使い易いと思います。お子さんなら、安価で

　丈夫な竿を用意して上げて下さい。投げ釣りをマスターする上でも、投げて遊べる

　釣りが良いでしょう。

　※店頭でカゴ盛りになっている安価なリール付きのロッドがお勧めです。波止釣り

　　 全般、サビキ釣り等、問題なく使用出来ます。 長く続けられる様で有ればスペック

　　 の高い物を購入して上げて下さい。

　竿の良し悪しを見分けるポイント

　あまりにも安価な物は壊れるのが非常に早いのは否めません。近年、二級品でも

　良い物は有りますが（若干のアタリ、ハズレは有ります）

　　●誰でも簡単！見分けるポイントは？

　　リールシートを見て選ぶ

　リールシートとはリールを取付ける台座の金具の事です。竿は

　色々なパーツを組み合わせて成り立っています。安価な竿は

　当然の様にパーツの品質が落ちます。ガイド等も簡単に外れ

　てしまいます。また塗装を施している材質等はパッと見た感じ

　分かり難いですが、比較的、高いスペックの竿のリールシート

　の場合、高級品はチタンや普及品だとステンレスを主に使用しています。

　（stainless steel 等の刻印が打って有ります）

　※それ以外の安価な竿は鉄製で刻印も有りません。ですので竿を購入する時は

　　 最低限ステンレスシートを使った物を購入する様にしましょう。

　　自分の目で確認しましょう

　竿を伸ばしてガイドをセットしてみましょう。高級品の竿とも成

　るとガイドが納まる位置は六角形や八角形の構造に成って

　いますので、どなたでも簡単にセット出来ると思います。近年

　安価な振り出し竿でも前述した様な形状が無くてもガイドの

　座りは幾分向上してはいますが、堅くセットしたにも拘らずガ

　イドがクルクル回る様では釣りに支障が出るので購入は見合わせた方が懸命です。

　※釣り場では様々なトラブルが付き物です。出来るだけ予算と相談してスペックの

　　 高い物を購入する様にしましょう。

　　ガタ付きや、異音の確認
　竿を伸ばした時に、竿の継ぎ目にガタ等が無いか良く確かめてください。伸ばす前に

　竿を軽く振って見る事も、とても大事なポイントです。各人個人差が有りますが自分

　の手に馴染んでいるか、持った感じがしっくり来てるかなどもポイントです。

　　竿は真っ直ぐ通っているか
　竿は地面に向かって少し曲がるだけで左右どちらかに傾く事は有りません。

　竿が通っているかを確認するには、手元から穂先へ向かって、睨んで見る事です。

　このポイントは非常に大事な事ですので、必ず実践する様にして下さい。

　（買った後で後悔しても始まりません）

　　竿尻の栓を外して確認

　尻栓というのは竿の尻（一番手元の部分）に付いて

　いるフタで、ネジの形状にに加工されていて反時計

　回りに回して簡単に手で取り外す事が出来ます。

　竿は長く使って行くウチに、塩水の影響で、このフタ

　が固って、取れなくなる事が有ります。そうならない

　為にも、出来る限り釣りから帰ったら真水で洗う

　様にして下さい。

　リールも同様です。分解する必要は有りませんが、軽く洗って水気を拭いた後、可動

　部にCRC等を塗布すれば、長持ちします。全ての釣り道具に言える事ですが、メンテ

　ナンスは、とても大事なポイントです。（シッカリやれば一生使えます）

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